道南スギの魅力

北海道で最初に植林された木

「スギは本州の木」と思われがちですが、北海道・道南地方では古くからスギが植えられています。
現在から250年ほど前の1773年に、松前藩により松前町池の岱で植林が行われた記録が残っており、
これが北海道の植林の始まりとされています。
北海道の主要樹種となっているトドマツやカラマツの植林は約100年前からと言われているので、
道南スギはそれより100年以上も前から植林されていることになります。

樹齢300年超 道南の神社のスギ

道南各地の神社では古くからスギの植樹が行われており、北斗市の文月神社や 知内町の雷公神社、姥杉神社、福島町の吉野八幡神社、白符神社など多くの 神社に樹齢300年を超えるといわれるスギの大木が見られます。

松前町池の岱のスギ

1773年に植林された松前町池の岱のスギは80年後の1850年頃に 松前城の築城のため伐採されます。 道南スギを使って建てられた松前城は残念ながら1949年に火災により焼失 (現在の松前城は1961年に再建)してしまいますが、池の岱のスギは その後も伐採・植林を経て現在は3代目のスギ林が立派に成林しています。

函館山のスギ

1800年代も道南地方では幕府や松前藩主導でスギ植林が行われています。 観光地として有名な函館山の山麓にあるスギ林は1808年に七重村(七飯町)の 倉山卯之助により植えられたとの記録が残っています。 函館山のスギ林は樹齢200年を超え、現存するものでは北海道で最も古い人工林です。

造林面積の拡大

函館山のスギ植林以降もスギの植林は小規模に行われていましたが、 その頃はまだ北海道の森林は「豊富にある天然林を伐採する時代」であり、 植林は積極的には行われていませんでした。 植林面積が一気に拡大するのは、戦後(昭和30年代~)に行われた 「拡大造林政策」によります。現在の道南スギ林のほとんどは この拡大造林政策時代に植林されたもの(40〜60年生)です。 現在では、渡島・檜山管内で約3万2千haものスギ林が広がっています。